英会話スクールについて

前例なしノウハウなしの海外赴任を命じられるかもしれません

今どきのビジネスでは日本国内だけではなく海外赴任を要求されることも多くあります。海外勤務が大企業や商社だけの話だったのは昔の話で、今は中小企業でも海外で働くことは当然のようにあります。

そうなったときに、最初に思い浮かべるのが語学力のことでしょう。英語が得意で留学経験もあり人に誇れるようなTOEICの点数を持っているのならば何もいうことはありませんが、多くの人はそうではないと思います。また、何十年も前から海外業務を行っている会社ならば英語が苦手な人がどうすればよいかということも含めて社内にノウハウもありますが、前述のように今はそういう会社の社員だけが海外に行くわけではありません。それどころか、前任者や前例や現地支援者なしに、海外に一人で赴任して事業をゼロから立ち上げるということも多くあります。

このようなときに、一体どうすればよいのでしょうか?
ここでは、英語とその勉強方法に限定して、生き残っていくための方法をお伝えします。

海外で仕事をしていく際に必要な英語

海外といっても様々あり、大きく4タイプに分類できます。これをA,B,C,Dとします。

Aは米国やカナダ、オーストラリアや英国など、英語圏の先進国です。ここには香港やシンガポールなどの事実上の英語圏のビジネスハブの国も含みます。こういった国では業務提携や資金調達などの、経営そのものに近い業務を行うことが多いです。

Bはフランスやドイツなどの英国圏以外のヨーロッパ諸国や、メキシコやロシアやインドや韓国やブラジルやトルコなどの中・大国です。こういった国では、親会社や監督官庁やメインバンクとの関係から市場開拓などのマーケティング上の要請によって進出する場合が多くなります。

Cは中国やベトナムなど主に製造コスト削減のために進出するものです。ただし、中国を始めとしてこれらの国々の所得や消費意欲は向上しており、Bと重なる部分もあります。

Dは上記以外の国で、冒険的な市場開拓であったり、特殊な原材料調達や販路がある場合です。

それぞれのタイプにおいて、必要とされる英語能力が変わってきます。

Aの場合は高度なビジネス英語が必要になってきます。契約や法律や財務、行政などの規制と言ったものへの対応が必須になりますし、駐在員の生活の場においても、学校や医療や納税などでそれなりに複雑な対応が要求されます。

Bの場合も、ビジネスと生活の複雑さの度合いにおいてはAと大差はないのですが、今まで海外進出をしてこなかった会社が、単独でこれらの国に進出することはあまり多くありません。この場合は日本人や日本語のできる現地人の通訳やコンサルタントをつけることが多いですし、そのような協力を確保できる見込みがなければ進出するという決定に至ることがありません。

Cの場合はすでに現地に進出した日本企業が多くあり、駐在員や現地採用など、その国で生活し働いている多くの日本人がすでに存在しています。国や都市によっては日本人居留地と言えるようなものすら存在しています。ここでは、英語が必要でない場合もあります。

Dの場合は、進出の事情や経緯やゴールは千差万別であり、当該国の状況も千差万別です。ここで必要になってくるのは、どんな社会でも生きていくことができ、どんな想定外の出来事にも対応できる、冒険心やサバイバル力や胆力といったものになります。英語は大した問題ではありません。もちろん英語は必要であり、上述のA,B,Cのどれよりも必要になるかもしれませんが、それ以前の問題や課題が多すぎて、英語などは大した問題ではなくなってしまいます。

さて、今まで経験もなく社内にノウハウもない中小企業の海外進出に限定すると、担当者の英語力とその不足が問題になるのは、AとCの場合だけだと言えます。
Bは現地の協力者なしに進出するということが考えられないからです。もちろん何事にも例外はありますし、AやCとの境界事例もあるでしょうけれども、Bに社員を裸一貫で放り出すのは余りにも投資としての筋が悪いからです。逆に考えてみれば分かります。世界的に見れば日本もここに入りますので、多少英語のできる日本語のできない外国人が日本に赴任したと考えてみれば分かるでしょう。現地協力者なしではこの人達は日本で生活していくこともおぼつかないでしょう。
Dは上述の通りで、問題の本質は英語ではないです。

では、AとCの場合で求められる英語力についてですが、これはさらに3つのパターンに分かることができます。

1は現地の日系企業を相手にする場合です。 AやCの国にはすでに多くの日本企業が進出しており、日本人が居住しています。外務省の統計によると2017年10月1日現在の在外邦人数は135万人で、これは山口県の人口と同程度の人数になります。彼らの多くはAとCの国に住んでおり、現地の大使館や領事館に在留届を出していないが実質的に居住している人も、特にCの国に多く存在しています。彼らをターゲットとした日本企業は、人材紹介や不動産といったものから、日本食材の輸入販売や塾や保育園や美容院に至るまで、想像以上にたくさんの日本企業が現地の日本企業や日本人相手に進出しています。

2は現地で製造加工や下請け現地企業への委託などは行っているけど、売上を上げているという意味の取引先は日本の本社か、その周辺企業という場合です。現地で品質管理や労働管理や在庫管理などのミドルマネジメントは行っていますが、マーケティングや資金調達やM&Aなどの高度なマネジメントや複雑なオペレーションは多くありません。

3は現地企業に対して販売を行っている場合です。それも日系企業や合弁企業、日本人や元日本企業勤務者が現地で作った企業などではなく、純粋なローカル企業との取引を行おうとしている場合です。

1の場合、英語力は大して必要ではありません。やろうと思えば英語を一言も話せなくても仕事も生活もできてしまいます。そしてこのような人は、意外とたくさんいます。
もちろんこの場合でも英語ができるに越したことはありませんし、英語ができる方が仕事面でも生活面でもリスクが減ります。しかし、英語ができないほうが良い場面などはそもそも存在せず、どの国で誰を相手に仕事しようと英語ができるに越したことはないのは共通なので、あくまで最低限必要な水準の話をしましょう。
それでいうとCの場合は「英語力など気にすることはない」です。Cはすでに同じような英語レベルの日本人が生活できる基盤ができているので、HelloとThank youと数字を数える程度の英語でどうにかなってしまいます。Helloすらも言えないという人はもはや豪傑の部類ですので、そういう人こそ逆に持ち前の生命力でどうにかなってしまうでしょう。
Aの場合は、もうちょっと英語力がいります。それは病院や役所や自動車の運転などで、その社会の複雑さに見合った英語が生活の場で必要になってきます。日常会話レベルの英語は必要です。しかし、社会がある程度整っているので、英語ができなければとんでもないことになるというほどでもありません。不便だというだけの話であって、日常会話レベルの英語ができれば、その先は現地で必要なものについて慣れていけば良いと言えます。

2の場合は、AでもCでも日常会話レベルよりも高い英語が必要になります。しかしこれは英語が流暢でなければいけないという意味ではなくて、ミドルマネジメントの遂行において必要な英語です。具体的にいうと、自分の会社の業界や製品の専門用語や概念は、ある程度は英語でできる必要があります。もっともこれは英語の問題というよりも、自分の専門知識をどれだけ平易に論理的に説明することができるかということでもあり、日本語でそれができなければ、英語が流暢だったとしてもできないです。

3の場合はかなり高度な英語力が必要になります。現地でビジネスのカウンターパートに出てくる人は、当地におけるエリート層になります。Aの国ではこの人達は教養のある英語を話すことを重視しますし、Cの国では社会の上位層になるためには英語が必須であるのが普通なので、留学等で仕込んだ英語を当たり前に使ってきます。どちらにしても稚拙で表現力が乏しく聞き取りにくい英語を話し、何度も説明をしても聞き取ってくれないようでは、ビジネスパーソンとしては非常に安く見られてしまうでしょう。
しかし3の場合は、そもそも英語を問題にすることが間違っていると言えます。大切なのはしっかりとしたビジネスパーソンであることであって、問題が英語ならば通訳を用意すればよいだけですし、会社や製品そのものに魅力がなくてビジネスにならない場合、その原因を担当者の英語力に求めるのは筋違いであるし、その問題をクリアするために英語を勉強するというのは改善の努力の方向を間違えていると言えます。

英会話スクールに絡めて、今までの内容を整理します。

A-1:日常会話レベルの英語が必要なので、少人数英会話スクールや、Skypeなどを使ったオンライン英会話スクールで、英語でのコミュニケーションに慣れておくと良いでしょう。
A-2:専門分野や業界についての英語の読み書きや説明能力が必要になります。少人数または一対一で、英作文の添削や、英語でのプレゼンを聞いてアドバイスをくれるようなトレーニングを積むと良いです。
A-3:英語を勉強するよりも良い通訳を雇ったほうが良いです。あくまで赴任者本人の英語能力にこだわるのならば、英語圏の大学院にでも留学するつもりでみっちりやる必要があるでしょう。

C-1:英語ができなくてもどうにかなります。現地の言葉の予習と同じく、教養として勉強しておく分には損はないでしょう。
C-2:A-2と同じく。
C-3:A-3と同じく。